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モリヤとは長い付き合いだった。
昔は可愛い顔をしていて、今よりもずっと笑顔を向けてくれた…
「イチニイ!遊んで!」
思い出すのは、玄関を迷いなく開けて飛び込んでくるモリヤの姿だった。
人懐こく、迷いなく、汚れも無い少年はいつの間にか笑わなくなった。
「昔は可愛かったのに…」
そう呟くと、隣から空いていた方のひじが脇腹を攻撃してきた。
「独り言を喋るな。」
大きな黒目がタイチを見上げ、ギラリと睨む。
「はぁ…ぃ」
仕方ないな…とタイチは呆れた顔をする…
モリヤが冷たくなった理由には思い当たる事があった。
中学二年の時、
それなりな年頃だった事もあって彼女が出来た。
好きだったかと聞かれれば、返事に困るが
別に断る理由も無かったし、
周りも意外と進んでいたもんだからそれとなしに付き合っていた。
タイチはモテる方だった…
緩めの癖毛に薄めの髪色、お婆さん譲りの白い肌と高い鼻に淡いブラウンの瞳…
いわゆるクオーターってやつ。
別に彼女達もタイチの中身が好きだったのかさえ ハッキリしない…
けれど、そんな物だ。
タイチからすれば、誰でも良かったのだ。
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