一章 不機嫌な年下

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中学3年の夏頃には何人目かの彼女が家に遊びに来るようになっていた。 両親揃って不在な事が多かった所為もあって、 そうゆう意味でもタイチは進んでいた。 その日も、彼女の予定が入ってしまい退屈していたタイチは1人で帰り道をブラブラしながら帰り… 道を聞かれた女子高生と楽し気に話し込んでいた。 別にタイチに気があった訳では無かったが、 やたらと距離の近い女子高生相手に嫌な気はしない。 「イチニイ?」 タイミングが悪かった。 タイチの彼女の入れ替わりの早さにモリヤは先日愚痴をこぼしていた… そんな最中、携帯の画面を女子高生に向けている瞬間をモリヤに見つかってしまった。 「…また?」 その一言に楽し気にしていた女の子の表情が一変し、嫌悪感をむき出しにした。 「違うって。」 そう取り繕うタイチはモリヤの後ろを追いかけていた。 元々下がっている目尻を下げ、懸命にご機嫌を伺うタイチを見上げ、モリヤは黒々とした瞳を細めて睨んだ… 「イチニイ、節操無しだね!?」 あんなに言ったのに…、と付け加えた。 タイチの素行を噂で聞いたモリヤの両親が距離を置くように注意していた… 今までは仲の良い兄弟のようにしてきたが、 あまり関わって欲しく無いと願うのは親心だった。
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