第十一章 束の間の日常

15/100
104人が本棚に入れています
本棚に追加
/682ページ
「私の子供たちを嘗めていると、痛い目見るわよ?」 「あら?部下が使えないのか、いきなり親玉のお出ましだわ。」 「言うに事欠いて、私の子供たちが使えないですって?」 「ご自慢のゴブリンナイトとゴブリンジェネラルが出ていないようだけど?」 「……変ね、あの子達は私の危機なら真っ先に駆けつけるのだけど。」 「主殿、5、6匹体色がおかしいのが混ざっていたんだが、こいつらもゴブリンか?」 「え、嘘。ナイトちゃんたちとジェネラルちゃんが!?」 「あら、仕事が速いわねハイド。」 「ごごごご……こうなったら……!助けてダーリン!」 「あー、どうした?って、おいおい……なんで俺の可愛い息子達がこんなひどい目にあってるんだ?」 「あら……エンペラーゴブリンまでいるなんて聞いてないのだけど?」 巣穴から出てきた(肌が緑色であることを除けば、だが)トップレスの美女の呼び掛けに答えて、頭に王冠をのせた全身が黒い(そのせいで白目が目立つ)男が出てきた。 「……おい女。なんでテメェ少なく見積もっても千年は生きてる竜なんぞ従えてやがる?」 「悪い?」 「悪かねぇが……俺の息子たちをこんなひどい目にあわせたってことは、テメェらは俺らの敵ってことでいいな?」 「もちろん。ハイド。クイーンゴブリンの方お願い。」 「良かろう。」 「羽根の生えた蜥蜴風情が、嘗めないでちょうだい!」 叫んだクイーンが火球を放つ。 「……喝!そんなちっぽけな火の粉が、俺に効くと思うか?」 「っテメェ、!」ギャリッ 「この一撃は防げるのね。」 踵から斧状の刃を展開して回し蹴りの体勢のエトと、エンペラーゴブリンが抜いた剣でつばぜり合いのような状態になる。 「ずいぶん丈夫な剣ね?」 「ちぃと魔力で強化してるんでな!」 「おっと。」 弾かれた脚を大きく回して、逆の脚でソバットを繰り出す。 剣の腹で受け、後ろに跳んで威力を殺される。 「ん、の……アマぁぁぁぁ!」 怒号を発し駆けるエンペラーに、何気なく掌を向けるエト。向けた手から、一条の光線が迸る。姿勢を低くしてかわしたエンペラーの視界を、銀色の物体が覆う。直後、エンペラーゴブリンはあっさりと、 激しく回転しながら背後の樹をへし折り飛んでいく。
/682ページ

最初のコメントを投稿しよう!