十二章 闘技大会

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「もう今までの僕とは違う。」 ≪リュカ!共鳴!≫ ≪………呑まれるなよ。≫ 服越しにも分かるほどに強く、ラルフの背が光を放つ。メキメキと音をたててラルフが変貌する。 「………これは、もう手加減とか言ってられないか。孤狼、強化弐速!」 「………不味いな、ちょっと引っ張られてる。………ブースト、ギアフォース!」 狼そのものの顔となったラルフの拳と、アレクシアの拳がぶつかり合う。今度はアレクシアの腕が一方的に弾かれ、強烈な一撃がアレクシアを襲う。 「くっ………!≪サンダーブーストアーマー≫!」 放電する鎧を纏うアレクシア。 「駄目だ、来るなぁ………!」 ≪リュカ、共鳴解除!≫ ≪言わんこっちゃない。≫ ラルフの姿が元に戻る。 「ラル?」 「………思った通り、もたないか。≪ハイドロアーマー≫。………せっ!」 「やあっ!」ガキッ 魔武器の能力と強化魔法を併用して、二人が再びぶつかり合う。 五分ほどそのまま拳を合わせていたが、どちらからともなく距離をとる。 「………強くなったのね、ラル。」 「………姉さんこそ。前見たときより強くなってる。」 「「だからこそ、もう出し惜しみは無し()!≪獣性覚醒≫!」」 『わーっ!?獣人でなければ使えない≪獣性覚醒≫の同時発動!?会場全壊させる気かこの姉弟!!!』 全く同時に同じ魔法を発動した二人。だが、同じ魔法を発動したはずなのに、二人の様子は異なる。 ラルフが獣のように咆哮をあげる一方、アレクシアは鋭い目付きでラルフを見据え歯を剥き出しにして威嚇している。咆哮を止めたラルフが、凄まじい勢いでアレクシアに飛びかかる。アレクシアもそれに呼応するように突進し、ラルフに組み付いた。 『激しいぶつかり合いでステージがどんどん破壊されていきます!直すの僕らなんでほどほどにしてほしいところです!』 『無駄ですよ実況の人。この二人今理性ないっていうか、本能任せに暴れてるだけなんで。』 『生徒会長!?………その子は?』 『私の娘。私の格好いいところが見たいってせがまれたから連れてきた。』 『そうなんですか、収集つかなくなりそうなんで、そろそろあの二人を止めてください!』 『横槍入れたらアレクシアが後でキレるから却下。』 『そんな!?』 ステージを盛大に破壊しながら縦横無尽に暴れまわる獣人二人。
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