十二章 闘技大会

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「特待生寮?」 「ええ。そこの縦に長い黒い建物。………108階だったかしら。」 「そうか、ありがとう。………んじゃ、悪いが姿を貸してもらうぞ。」 「はあ?………なっ!?」 アレクシアの目の前で姿を変える特徴の無い平凡な外見の男。次の瞬間、服装まで含めて全くアレクシアと同じ姿がそこにあった。 「………あんた、人間じゃないね?」 「失礼だな、俺達魔人もまた人間だ。………俺が魔物よりの体質なのは間違いないがな。おい、シャドー!」 「ヒハハハ、お呼びですか隊長。」 「こちらのお嬢さんをもてなして差し上げろ。」 「承知しました隊長。」 「ちょっと、待ちなさい!」 「ヒヒヒ………貴女の相手は私ですよ?」 アレクシアに扮した男が特待生寮に向かうのを阻止しようとするアレクシアの前に、シャドーと呼ばれた男が立ち塞がる。 「退きなさい!」ゴッ 「ヒハァ!?」ドゴォン 強烈なストレートを叩き込み、シャドーと呼ばれた男を吹き飛ばす。 「待ちなさい、魔人!」 「待つのは貴女でございますよ?」ガッ 「むぎゅっ!?………さっきの一撃で仕留めたと思ったんだけど。私のパンチまともに喰らって生きてるのは貴方で二人め。………ただ殴るだけじゃ死ななさそうね。侵入者相手だし、多少大雑把にやっても校長先生は大目に見てくれるよね。………行くわよ、孤狼。」 両腕に魔武器らしき鉤爪を装着するアレクシア。両足もアーマーが覆っている。 「ヒヒヒ………何処からでもどうぞ、お嬢さん。隊長が所用を済ませるまでお付き合い願いますよ?」 「1分で片をつけるわ。」ドゴシャッ 胴体に鉤爪を突き刺し、そのまま殴り抜く。後方に吹き飛ぶ男。その軌道上に、アレクシアが姿を現し回し蹴りを横腹に打ち込む。 「ヒ………ハハハ………お強いですねぇ?」 「喋ってると舌噛むわよ。」 男が体勢を整えた直後、背後から強烈な裏拳。よろめく男のこめかみに、爪先が刺さる。 「くたばれ………孤狼・強化壱速。」 ギリギリ目で追える速さで動いていたアレクシアの姿が、完全に見えなくなる。 「ヒヒヒ………ヒハハハ!?」ザシュッ 直後、男の全身から血が吹き出す。 「魔人だかなんだか知らないけど、こんだけ血を失えばさすがに死ぬでしょ?早くあの男を追わなくちゃ………!?」 「効きませんねぇ………こんなもの。」
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