十二章 闘技大会

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「えへへ………。」 「本当に如何様してない?」 「してないってば。」 この後も数回ゲームを繰り返したが、エトは毎回強い役を引き続けた。 翌日。 「さて………。とりあえずは上半身を中心に守るプロテクター的なものを仕上げてしまおう。」 再びインゴットやら液体金属の入ったビーカーを並べて不敵に笑う。 「この式がここと繋がって………こっちがこうなって………で、ここにアダマンチウムを充填して………後は合金Xとこないだぶっ殺したドラゴンゾンビの魔核を混ぜたものを外殻として展開するようにして………よし、こんなもんだろ。」 チョーカーとペンダントが出来上がり、それをつけていっそう笑みを深める。 「後は、試運転だな。………ここで書いてネタバレしちゃうと面白くないから、書かないけど。」 あの、メタい発言しないでください。 「メタ発言自重しろ?だが断る。」 断らないでください。 「だ が 断 る 。」 時間を大幅に吹き飛ばして、闘技大会当日。 「ヨシムラ………その腕輪、何?」 「今日に備えて作った小道具。」 「ラルフから聞いたけど、なんか仕込んでるんでしょ?………まあ、全部は聞かないわ。どこで誰が聞いてるかも分からないし。」 「分かってきたじゃないか、ヘレン。情報は伏せられるだけ伏せる。切り札は出来るだけ隠しておくものだ。………そうだ。皆は教えたあれ、出来るようになった?」 「僕はほぼ完璧。」 「当然。出来るようになったわ。」 「私も一応はモノになりました。」 「………。」 「パティ?」 「サラに止められてます。神霊との共鳴は人間には負担が大きすぎるって………。」 「まぁ、そうだろうね。私でも結構シリウスとの共鳴はきつい。」 「シリウスちゃんとの共鳴ってきついんですか?」 「神狼だよ、シリウスは。北欧の神の一柱ロキと、女巨人アングルボザの間に産まれた魔狼。世界の終焉に起こる戦争で、大神オーディンを飲み込んだがその息子に体を真っ二つに裂かれ倒されたとも心臓を剣で貫かれたとも言われている、らしい。」 「そんなやつがあんたの使い魔に!?」 「凄まじく速いしデカい。しかも強い。使役するつもりはないって言ったらあっさり契約してくれた。」 「訳がわからないわ。」
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