十二章 闘技大会

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「だろうね、私もわからない。」 「あの、二人とも。そろそろ個人戦が始まりますよ。」 開会式?バッサリカットです。 「これより、アレン・キャンベル対「ざわ……ざわ……」の試合を開始します。」 「………。」 「コロナ。」 「始め。」 両刃斧を構える大柄な男子とキャンベルが対峙する。魔武器と思われる名を口にした直後、キャンベルの手に炎を纏う剣が現れた。 「………降参しろ。その吹けば飛ぶような細い体では、俺のこの肉体には通用せん。」 「言ってろ、名前も出ない三下が。………お前、筋肉つけりゃとりあえず強いって思ってるタイプだろ?」 降参しろと宣う相手の言葉を一蹴し、逆にボロクソに言い返したキャンベルの周囲の空気が揺らぎ始める。 「何だ………目の錯覚か?」 「一挙一動に気を配れ、一瞬たりとも気を緩めるな。さもないと………お前は一撃で終わる。」ドンドンドン 小さな爆発が立て続けに三度起こり、キャンベルの姿が消える。 「………何!?ぐあっ………!」 「遅い。」ザンッ 正面にいたはずのキャンベルが、男子の後ろから現れ左腕を肘から切り落とす。 「片腕で振るえる物じゃ無いだろ、それ。分かったろ?お前じゃ僕には勝てない。降参しろ。」 「………認めよう。俺はお前を侮っていたようだ。………投了する。」 『おーっと、あまりの速さに何をしたのか眼で追えませんでしたが!キャンベル君が腕を切り落として一瞬で片をつけてしまいました!』 「これより「きゃあああああ!」対グレイ・バーンズの試合を開始します。」 「よ、宜しくお願いします………!」 「おう。悪いが加減はしねーぞ。ヴォルケーノ」 燃え盛る大剣を呼び出すグレイ。 「始め。」 開始の合図と同時に大きく下がって距離をとる相手の女子。 弓を構え、グレイに矢を放つ。 「………悪いが、俺に飛び道具は効かねーぞ。」 「一発といった覚えはありませんよ!」 放たれた矢を大剣で薙ぎ払った直後、無数の矢がグレイを襲う。 「効かねー、っつったろ。≪マグマドーム≫。」 逆手に持った大剣を地面に突き立て、全身をマグマの幕で覆って矢を融かす。 「一回攻撃受けてやったし、今度はこっちの番だな。」 突き立てた大剣に魔力を流し、目を閉じる。 そのまま、静かに吼える。 「かわしてみろ、≪大噴火(スーパーイラプション)≫。」 ステージを盛大に破壊しながら、火柱が女子を襲う。立て続けに発生する火柱をかわしきれず、ステージ上から吹き飛ばされ客席に張られた障壁に叩き付けられる。
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