十二章 闘技大会

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ステージ上。 「があああ!」 「はっ!どうした、防いでみろよ!」 『おやおや!どうしたのでしょう、ラルフ選手!目付きこそ鋭いながらも冷静だったところがうって変わって憤怒を剥き出しに凄まじい勢いで殴打の嵐を叩き込んでいます!』 「その程度かよ!僕が獣混じりなら、お前はそれ以下だ!ギアフォース!」 「しゃあ!」 「鈍い!」ゴガッ 『拳をかわし、バク転の要領で顎を蹴りあげる!これは昏倒確実か!?』 「ねんねの時間にはまだ速いぞ、無駄マッチョ!」 『容赦ない!強烈なボディブローがまともに入った!!』 前屈みになった男に、更に容赦ない連撃を見舞う。モザイク必須な状態になった大男に、強烈なソバットを叩き込み吹き飛ばして、壁にめり込ませる。 「感触的に、手足の骨を潰したはずだし、顎も砕けたから魔法もろくに使えないよね。………僕を獣混じりと侮るからこうなる。」 『決着!って、医療班急げ、また重傷だ!』 「これより、ラルフ・グレイバックとアレクシア・グレイバックの試合を開始します。」 『姉弟対決だ!………学園内では強烈なブラコンで通っているアレクシアさんは、ラルフ君に拳を振るえるのか!?』 「いつぶりかな、姉弟喧嘩なんて。」 「………最初にあったのが、多分10年前。ただ………僕はその前後の一時間分くらいの記憶が無いんだけど、何があったんだろう?」 「さあね。………手加減しようか?ラル。」 「そんなもの、要らないよ姉さん。………群狼。」 「だよね。………男の子だもんね。孤狼。」 『躊躇いがあるかと思えばそんなことはなかった!どころか両方臨戦態勢だ!?』 「………始め!」 開始の合図が掛かるが、双方微動だにしない。 「ブースト、ギアセカンド。」 「孤狼、強化壱速。」 「「………勝負だ!」」ドンッ 同時に走りだし、互いの顔を躊躇いなく殴る。互いに後方に仰け反るが、態勢を建て直し殴り合いを始めた。 『能力行使と同時に間合いを詰め激突!熾烈な殴り合いを始めました!どちらも一切ガードをしていません!』 その頃、客席。 「………ペース考えなよ、ラルフ………!」 互いに一歩も引かない様子を見ながら、エトは歯噛みする。 「………不味いわね。」 「ああ。ギアセカンドで互角なら、更に上があるアレクシアの方が有利だ。」 ステージ上。 「………やるわね、ラル。」
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