十二章 闘技大会

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「ほい、終わり。後はこれでも食べて少し休め。」 蜂蜜がたっぷり入ったタッパーを置いて踵を返す。 「これなに?」 「私が住んでた辺りで疲労回復に効果のある食べ物。」 「………レモン?」 「の、蜂蜜漬け。厳密には、レモンに良く似た果物のキラーワスプの蜜漬け、だけどね。一応効果はあるよ。私で実験済みだから安心して食え。」 「頂きます………あ、美味しい………。」 「私ももらって良い?」 「うん、アレクシアも食べな。筋肉痛がちっとはましになると思うよ。あと、先生にはこれ。」 「ホールケーキ?………なんで貴方私の好物を知ってるのよ。」 「こないだリズさんから聞いた。とくにチョコケーキが好物だって。」 「………ありがと。」 「いいえー。またチーム戦始まる頃に来ますね。其のときに感想聞かせてくれると嬉しいな。」 「え、まさかこれ手作り………!?」 「時間なかったから凝ったのは作れなかったけど、そうですよ。アデュー。≪転移≫!」 『あ、戻ってきました。ともあれ、ステージが直りましたので再開します!』 『………せっかく直したのに、盛大に壊れる組み合わせだよ?』 『………え?………………ああああああ!!?』 対峙するグレイと元副会長。 「マジかよ、なんで出てるの、ミカ姉。」 「うん?出たら不味かった?」 「ああ、凄く不味い。………でもまぁ、ただではやられねーよ?」 「言うようになったね、あの泣き虫が。妖刀・琥珀!」 「吠え面かかせてやるよ。ヴォルケーノ!」 「始め!」 「食らえ≪ヒートエッジ≫!」 赤い斬撃がミカエルを襲う。 「よっ………と。琥珀、剣撃………焔!」 鞘で斬撃をいなしたミカエル、同じように倍近い大きさの斬撃を飛ばす。 「ちっ………≪ラヴァストライク≫!」 「おっと。………危ないな、死んじゃったらどうするのさ。」 「ミカ姉なら殺しても死なないだろ。」 「ひどい!?」 爆風を潜り抜け、斬りかかったグレイとミカエルがつばぜり合いになる。 「っ………かしいな、グレイってこんなパワー馬鹿だっけ?」 「俺からしたらミカ姉のが異常だよ。俺でも取り回しに難儀するこいつの重さを、そんな細い剣で止められるなんてな。」
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