十二章 闘技大会

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「おお………一気にカッコ良くなったじゃねーか!」 「見とれてると一瞬で終わるぞ?」ボッ 右脇腹を貫手で抉り取り、殺意を露に告げる。 「いってぇぇぇぇ!?………なんてな?≪傷食いの繭≫。」 闇の魔力が、少女を呑み込む。 「回復なんてさせねーよ。≪ヴォルケーノジャベリン≫。」 焔の大槍を作り出して、魔力の繭を砕きに掛かる。しかし、硬質な音をたてる繭が崩れる様子はない。 「ひゃははは!レディの着替えを覗こうとするなんて、助平な男だね?」 繭の中から、からかうような口調で話しかける少女。 「うるせぇ≪ブルースパーダ≫。」 蒼い焔の剣を繭に突き刺す。硬い音と共に弾かれる。 「ひゃははは!テメーも紳士なら、レディを急かすんじゃねーよ≪ダークスパイン≫!」 繭から生える黒い棘を、意に介さず攻撃を続けるグレイ。 「とっとと出てこい≪ブルーデストラクション≫」 蒼炎の塊を繭に拳と共に叩きつける。微かに繭に皹が入るが、すぐに塞がる。 「もうちょっとくらい待てねーの?すぐ終わるって、の!」 再び生えた棘を真っ向から殴り潰すグレイ。 「………繭ごと吹き飛べ≪ブルーフレアディザスター≫!」 蒼を通り越して若干白く見える焔の塊を繭に叩きつける。繭に大きな皹が入り、音をたてて崩れ落ちた。 「ありがとよ、ぼくちゃん?お陰でチャージが速く終わった。」 繭から現れた少女は、装いをわずかに変えていた。 背中から生えた羽で宙に浮かび、妖しく微笑む。 「飛べるのはあんただけじゃない。」 焔が蝙蝠のような翼を象り、グレイの体を宙に導く。 「ひゃは!今のアタシは、蝶のように舞い!」 目で追うのも難しい速さのグレイの剣をかわし。 「蜂のように刺す………!?」 背後から槍で貫こうとしたベリアルと名乗る少女の胴体を、蠍の尾が貫いた。 「飾りだと思ったか?残念、こいつも武器だ。」 「ぐ………ああああああ!!?」 激しく暴れだす少女。 「3000℃の焔の味はどうだ?………わかるわけないよな。痛みでそれどころじゃないだろうし。」 「嘗めた真似してくれやがって、クソガキがぁ………!荒れ狂え深きに潜む闇よ我が身に宿れ破壊の限りを尽くせ!我世界の破滅を願うものなり≪殺戮者暴走(アセンディングジェノサイダー)≫!」 『不味い。実況さん、ちょっと行ってきます。』 『え!?』
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