十二章 闘技大会

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「下がれ、グレイ。」 「俺の戦いに茶々いれてんじゃねーよ、ヨシムラ。」 「今そんなこといってる場合じゃない。あのままほっとくと死人が出る。」 「Gaaahhh!」 槍をかなぐり捨て、獣のように咆哮をあげる少女。 「さっきあれが唱えた呪文。以前ルイが使った系統の禁術の更に危険なやつ。」 「………マジでいってんのか、それ。」 「wryyyyyyaaaahhhh!」 「黙れ≪氷棺牢(グレイシアコフィン)≫。」 奇声を発し飛びかかる少女を、一瞬で氷の棺に閉じ込める。 「今かなり切迫した状態なのに私が冗談言うと思うか?さっきの奇声聞いてたろ?ある程度理性を保っての狂化であるバーサーカーソウルと違って、アセンディングジェノサイダーは完全に理性を崩壊させる。手加減無しに暴れまわるから、私じゃないと止められない。」 「なんか納得いかねーけど………なら、任せる。」 「Guu...fuuoooh!」 棺を粉砕したミカエル(ベリアル表出)が唸りながらエトを睨む。 「あまり使いすぎると変に人格増えそうだから使いたくないけど………これしか方法思い付かないしな。」 「Gahh!」 力任せに殴りかかるベリアルを受け流す。 立て続けに振るわれる拳を捌きながら、両腕を両脇に抱え押さえ込む。続けて二発頭突きを食らわせ、自分ごと下半身を凍らせて動きを止める。 「我望むは内なる世界を見通す目、心の有り様を映す鏡。闇よ、我が願いに応えよ。我、深淵を覗く者なり。≪精神潜航(マインドダイブ)≫」 ゆっくり、世界が暗転する。 ────────── 「さて………私ほどじゃないけど、ごちゃごちゃしてるな?」 「なんでここにいるんだい、新会長。」 「私の魔法で貴女の精神世界に入り込んだんだ。」 「………まさか、今現実では………!」 「下半身を凍らせて動きを止めてあるからまだ被害は出てない。」 「良かった!お願い、手を貸して。僕一人じゃ「アタシ」を止められない!」 「端からそのために来た。………念のため、もう一人助っ人を呼ぶ。≪精神開門(マインドゲート)≫来い、サクヤ!」 「何故我が輩なのだ?オボロかソラで事足りるだろう。」 「ソラは加減を知らないからベリアルが壊れる、オボロじゃベリアルを抑えるにはパワーが足りない。」 「………我が輩に、殺さず拘束せよと?」 「私達の中では武闘派のお前だ、易いことだろ?」 「良かろう、だが保証はせんぞ。」 「元からそんなものはないよ。」
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