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「ミカエル一人じゃ抑えきれなかったんだろ?」
「うん。今の「アタシ」の闇が濃すぎて僕の光じゃ抑えきれない。闇に、呑み込まれる。」
「み い つ け た。」
「………ちと速すぎるぞ。」
「「僕」を潰せばこの体はアタシの物だ。………死ねよ、「僕」。アタシのために死んでくれ!」
闇を撒き散らし、色を食い潰しながら、黒髪黒目の少女が現れた。
「………お断りだね。仮にどちらかが消えなければならないとすれば、消えるのは「アタシ」の方だ。この体は僕のものだ。後から出てきた「アタシ」には渡さない!」
「ほ ざ け !」
槍を作り出し襲いかかる少女を、身を翻しかわすミカエル。
「で、会長。なんか作戦ある?」
「とりあえず縛って動きを止めたい。あの服の衿元から覗いてる石解る?」
「え?うん、なんかあるね。」
「あれが貴女の体で彼女が発動させた禁術の核。あれに触れれば術式を解析できる。だから、どうにかして拘束して動きを止めよう。」
「分かった。≪光鎖縛≫!」
「は、無駄だぁ!≪自壊しろ≫!」
光の拘束魔法を放つが、端から黒く染まって砕けていく。
「ちっ………≪元素縛縄≫≪麻痺毒矢≫≪電撃縛鎖≫。」
黒い縄と黄色い液状の矢、黄色い紐状の魔力が少女に向かって飛ぶ。
「無駄だっつってんだろ!≪砕けろ≫!………何!?」
矢は砕け、紐状の魔力は霧散したが、黒い縄が片腕を胴体に縛り付ける。
「くそ、こんなもん力付くで引きちぎって………!」
「させると思うかね?≪電撃触腕≫。」
「がああああああ!?」
強烈な電流の鞭が、瞬間的に少女を貫く。
「グッジョブサクヤ、≪元素縛縄≫≪水檻≫≪捕縛氷人≫」
黒い鎖がもう片方の腕を縛り付け、水の檻が少女の首から下を覆う。氷の体ののっぺらぼうが、檻ごと少女を押さえ付ける。
「………なんだよテメーら、どっから出てきやがった?」
「君には関係ないことだよ。全く手間を増やしてくれる………私の魔力を無駄遣いさせないでくれ。」
指を二本揃え、首下に覗く赤黒く光る石に触れる。
「なっ………テメー、止めろ!」
「黙らせろ氷人………殺すなよ。」
氷の腕が、少女の口を塞ぐ。
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