十二章 闘技大会

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「ミカエル一人じゃ抑えきれなかったんだろ?」 「うん。今の「アタシ」の闇が濃すぎて僕の光じゃ抑えきれない。闇に、呑み込まれる。」 「み い つ け た。」 「………ちと速すぎるぞ。」 「「僕」を潰せばこの体はアタシの物だ。………死ねよ、「僕」。アタシのために死んでくれ!」 闇を撒き散らし、色を食い潰しながら、黒髪黒目の少女が現れた。 「………お断りだね。仮にどちらかが消えなければならないとすれば、消えるのは「アタシ」の方だ。この体は僕のものだ。後から出てきた「アタシ」には渡さない!」 「ほ ざ け !」 槍を作り出し襲いかかる少女を、身を翻しかわすミカエル。 「で、会長。なんか作戦ある?」 「とりあえず縛って動きを止めたい。あの服の衿元から覗いてる石解る?」 「え?うん、なんかあるね。」 「あれが貴女の体で彼女が発動させた禁術の核。あれに触れれば術式を解析できる。だから、どうにかして拘束して動きを止めよう。」 「分かった。≪光鎖縛(ライトチェーン)≫!」 「は、無駄だぁ!≪自壊しろ(デモリッション)≫!」 光の拘束魔法を放つが、端から黒く染まって砕けていく。 「ちっ………≪元素縛縄(エレメントバインド)≫≪麻痺毒矢(パラライズアロー)≫≪電撃縛鎖(ショックチェーン)≫。」 黒い縄と黄色い液状の矢、黄色い紐状の魔力が少女に向かって飛ぶ。 「無駄だっつってんだろ!≪砕けろ(クラッシュ)≫!………何!?」 矢は砕け、紐状の魔力は霧散したが、黒い縄が片腕を胴体に縛り付ける。 「くそ、こんなもん力付くで引きちぎって………!」 「させると思うかね?≪電撃触腕(ショックテンタクルス)≫。」 「がああああああ!?」 強烈な電流の鞭が、瞬間的に少女を貫く。 「グッジョブサクヤ、≪元素縛縄(エレメントバインド)≫≪水檻(アクアケイジ)≫≪捕縛氷人(キャプチャジャックフロスト)≫」 黒い鎖がもう片方の腕を縛り付け、水の檻が少女の首から下を覆う。氷の体ののっぺらぼうが、檻ごと少女を押さえ付ける。 「………なんだよテメーら、どっから出てきやがった?」 「君には関係ないことだよ。全く手間を増やしてくれる………私の魔力を無駄遣いさせないでくれ。」 指を二本揃え、首下に覗く赤黒く光る石に触れる。 「なっ………テメー、止めろ!」 「黙らせろ氷人(ジャックフロスト)………殺すなよ。」 氷の腕が、少女の口を塞ぐ。
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