十二章 闘技大会

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「テメー………何余計なことしてくれてんだ、ゴラ!」 「締め上げろ蕀鎖。」 「あああああ!?」 「こうでもしないとまた体を乗っ取って暴れるだろう?言っておくが、無理に外そうとすると激痛が走るぞ。」 「………外せる、よね?」 「正規の手順を踏めばね。………この鎖に触れる必要があるけど、それでも外したいなら止めない。」 「………。」 「ま、私の手が必要になれば、言ってくれれば本の少しくらいは手を貸そう。………じゃ、私はこれで。」 黒い扉を地面から生えさせて、倒れ込むように通り抜ける。 「行っちゃったね。」 「さっさとほどけよ!そんで体を明け渡せ「僕」!」 「駄目。貴女はしばらく封じ込める。………「私」が、「私」の罪と向き合えるようになるまで。」 「はっ………そうかよ。テメーの強情はよく知ってる、好きにしろ。だが忘れるなよ?テメーも言ったが、光と闇は表裏一体。とても引き剥がせるものじゃあねぇ。アタシはテメーの奥底から、這い上がれるときを狙ってるぜ?」 「知ってる。そう簡単には出さないよ?」 世界が、暗転する。 ───────── 「………はあ。疲れた。………せっ!」バキバキバキ 「………。」ドサッ 『………治まりました、よね?』 『一応ね。またそのうちなんかあるかもだけど今は大丈夫。』 『………この場合、どうしましょうか?勝敗。』 『さっきの蠍の尾で致命傷に近い傷を負ってたからグレイの勝ちじゃない?』 「………なんか納得いかねぇ。」 『お父さんの出番、まだ?』 『ごめんね、もう少し待ってくれる?』 「………。」 大会は、粛々と進む。 「これよりアリシア・F・ライトロードとアレン・キャンベルの試合を始めます。」 「ノイジーセッション。………加減はしないぞ、後輩。」 「コロナ。………お手柔らかに願います、元会長。」 「始め!」ギィン! 開始の合図とほぼ同時に金属音が響く。 『何だ、何が起こった!?』 『キャンベルのやつ、一回戦のモブの腕落としたときより速くなってないか?反応する元会長も流石だけど。』 『見えました?』 『ギリギリ。………それでも実況ですか?』 『流石にトップクラスの人たちの戦いは拾いきれないです!』
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