十二章 闘技大会

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『胸張るところじゃないですよ、それ。………足元で爆発を起こして、その反動を地を蹴る力に上乗せして高速で接近。勢いのままに切りつける。それが今キャンベルがとった行動です。』 『ライトロード様は見えた上で防いだのでしょうか?』 『シアは音を武器にする魔術師ですよ?音より遅いなら余裕で反応できます。』 『………シア?』 『彼女がそう呼ぶようにとお願いしてきまして。』 『おっと?急にライトロード様の剣筋が乱れましたよ?』 『そう呼んでほしいと仰ったのはご自分でしょう、何を恥ずかしがる必要があるのですか!』 「心の準備と言うものがあるだろう!というか、衆人環視の中呼ばれるとは思ってない!」 「余所見してて良いんですか?」 「それどころじゃないんだ!」ギャリッ 袈裟懸けに振るわれた一太刀を、刀身で斜めに受け流す。 「………なんだと?」 「それどころじゃないと言った!全くヨシムラは人の気も知らずに………!」 「撤回しろ。」 「………はあ?」 「………その意思は無し、か。潰す。≪爆裂魔装・連爆炎虎≫。」 上半身が一気にマッシブになったキャンベルが、仮面越しにアリシアを睨む。 「潰す、と言ったが………易々と倒せると思っているなら認識を改めろ。………ヨシムラに倒されこそしたが、私とルイ、そしてアレクシアが彼が来るまでは学園三強だったんだ。元とはいえ………生徒会長を侮るなよ?≪共鳴魔装・音撃歌姫≫≪暴風魔装・疾風怒濤≫!」 エトと戦ったとき同様二重に魔装を発動する。 「構えろ後輩。」 「言われずとも。………爆魄斬!」 「≪咆哮障壁(ハウリングウォール)≫。君の焔では、私の防御は破れん。」 「だから?」ギャリッ 「………驚いたな、火属性でここまで速く動けるのか。」 「油断したまま、あんたは負ける。」 「………油断しているのは君の方だろう。私が君なら、いつまでもそこには留まらないぞ。」ポーン 「は?………ぐっ!?」 キャンベルの首と頬が浅く裂ける 「この大会は、ある種の見世物だ。………瞬殺してはいけないのがもどかしいよ。私としてはあいつと話すことがあるから速く済ませたいのだが。」 「………ふざけるな!爆魄斬・扇!」 放射状に拡がる爆発がアリシアに迫る。
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