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「そうだ。能力のことは一旦おいておいて、自己紹介してもらえませんか?私は最初に言ったとおり、神、のようなものです。」
「今更な気がしないでもないが…。芳邑愛途だったものだ。」
「だったもの?」
「生前の名前を名乗ったのだが、一度死んでいるから断言するのも憚られてね。」
「そうですか。では仮に、えとさん、と呼ばせてもらいますね」
「いつまでも神のようなものでは、呼びにくい。なにか名前はないのか?」
「無いです。」
「うーむ…。」
「私を貴方がどう呼ぶかはこの際重要ではないです。異世界、行ってみませんか?」
「いくつか聞きたいことがある。」
「なんでしょう?」
「その異世界とやらに転生する場合、私はなにをすればいい?」
「特になにも。」
「は?」
「ですから、特になにも。」
「何かしなくていいのか?」
「大きく環境を変えるようなことをしなければ。自由に生きていただいて構いません。」
「そうか。」
「はい。他の質問は?」
「多少能力をつけると言っていたが、どの程度までならつけてもらえる?」
「所謂チートとか最強はダメです。が、規格外にならなければどんなものでも。」
「分かった。これが最後の質問だ。その異世界は刺激に満ちているか?」
「保証しかねます。が、あくまで推量に過ぎませんが退屈はしないでしょう。」
「なるほど。」
「どうしますか?」
「行かせてもらおう。異世界とやらに。」
「では、能力の希望を聞きましょうか。」
「これからいく世界のすべての言語を理解できるようにしてほしい。魔力は魔法を得意とする種族?の平均程度。属性は、任せる。世界の知識を検索できるようにしてほしい。使ったことの無い武器でもある程度は使いこなせるようになりたい。可能か?」
「全て可能です。外見の希望は?」
「このままでいい。」
「分かりました。少し待ってください。」
少し待つように言った自称神の手元が直視できない光を放つ。
目を背けて一分ほど経っただろうか。光が収まった。
「ではえとさん。」
「愛途でいい。さんはいらない。」
「これを飲み込んでください。」
「無視か。」
無視されたことに若干腹をたてつつ渡されたものを見る。
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