第一章 気がつくとそこは…

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「飴玉?」 飴玉?だろうか。やたら黒いが…。 「それを飲み込めばえとさんの希望した能力が付与されます。馴染むのに少し時間がかかりますが…。」 「体に害がありそうな黒なんだが…。」 「害はないですから飲み込んでください。」 「うっ…。分かったよ。」 害はないというので一先ず信用して飲み込んでみた。 「…?何も変わった感じがしないんだが…?」 「あれ?そんなはず…ぇえー。」 「?どうかしたのか?」 「なんで一瞬どころか飲み込んだ直後にほぼ完全に定着してるんですか。あり得ないです。」 「あり得ないと言われてもなぁ…。」 「体に異常は?」 「無いが?」 「まぁ定着してるから、難しく考えなくても良さそうですね。」 「能力とは関係なく二つお願いしたいことがあるんだが…聞いてもらえるか?」 「なんでしょう?」 「一つ目だが、異世界に転生してからも話し相手になってほしいんだが…。そんな頻繁にじゃなくたまにでいい。今みたいなおしゃべりをしたいんだが…。」 「そんなことですか?いいですよ。もう一つのお願いを聞きましょうか。」 「お願いというか、お礼かな。貰ったものと釣り合うとは思わないが、君に名前をあげたい。」 「名前を?」 「サン、というのはどうかな?少し安直な気もするが、君の髪と目を見て太陽を思い出した。だから、サン。」 「サン、ですか。」 「気に入らない、かな?」 「まさか。とんでもない。今まで名前なんて貰ったことないですよ?これからはサンと名乗ることにしましょう。」 「敬語、外せない?」 「はい?」 「対等だって思ってるわけではないけど、それでもおしゃべりするなら敬語はなしで話したいかな。」 「そうで…そっか」 「ありがとう。」 「それじゃあ、愛途!第二の人生、楽しんで!」 私の足元が発光し、徐々に意識が薄れていった…。
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