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歩くことも、走ることも、小さい頃やっていたサッカーもできなくなった。
同時に家庭環境も壊れ始めた。
昔よく遊んでくれていた父さんは
浮気をしていたのがバレ、母さんと離婚した。
母さんも離婚してからいろんな男を
とっかえひっかえして遊んでいる。
正直あの家にはもう戻りたくない。
この病院が唯一俺の存在を許してくれる場所だ。
夏菜子さんが俺の足の状態をみたあと
俺が見ていたニュースに目を移した。
「やだ、またあの急死事件?不吉ねぇ…
こんなニュースみたらみんな、心配になっちゃうじゃない
それでなくてもニュースと似た症状の
患者さんが居るのに…」
夏菜子さんの言ったことに俺は驚いた
まさかこの病院にも似た症状の人がいたとは、
聞くところによると、そうゆう患者は
何人かいるらしくまだ死人は出ていないものの怪しい状態らしい。
その患者はガン、心臓病、等々と全員かなりの重病者達だ。
「やめましょうか
こんな話、縁起でもない」
確かにそうだ、他人の死ぬことを安易に
考えるもんじゃない。
「じゃあまた明日検診に来るわね」
夏菜子さんは静かに扉を閉めて行った。
また自分以外誰もいない空間になった。
今は流石にもうなれたが初めて入院した時は寂しかった。
よくドラマでは窓から青空が見えて
白く綺麗な病室っていうイメージが強いが
実際は黄ばんだ色の病室で
窓から見えるのは車や木、青空なんて
見えやしない
ましてや見舞いにくる親も、知り合いも、友達も、居ない。
「もう一生俺の足は動かないんだろうな…」
少年の小さな呟きは誰の耳に入ることなく
消えていった。
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