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漆黒の闇の中を、青や緑の光の輪がひろがっている。生まれてほどない若い星のまわりをガスや固体の微粒子がめぐり、うずまいている。やがてそれらがまとまって、星のまわりをめぐる惑星となる。うずまく物質ごとに凍結する温度が異なるために、それが青や緑の光のグラデーションとなって、生まれたばかりの星をかこんでいる。
「またご覧になっておられるのですか」
女性らしい、高くとおる声がそう語りかけた。
「いつ見ても美しいものだ」
男性らしい、太くひびく声がそれに応えていった。
「こうして生まれ出ずる星々の中に、かの星のように生命を宿すものが現れましょうや」
「それは分からぬ。いまはただ、こうして若い星の営みを愛(め)でるだけで心が満たされる」
「愛でる心……そのためにまだ闘いをおつづけになるのでございますね?」
「何、せっかく生まれたものを容易くあきらめたくない、それだけのこと」
そのとき、ふたりとは異なる者の声が問いかけた。
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