1.いにしえの都で

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 あひるのいた場所まで戻ると、家畜小屋らしい建物から動物の鳴き声が聞こえてきたので、そこに入る。入り口からひょこっと顔を覗かせると、四角く区切られた柵の中に、ヤギが数匹いた。  よく見ると奥に一匹だけ、ちいさい子供の白ヤギがいる。毛も柔らかそうだし、顔がまだ赤ちゃんみたいで愛らしい。  かわいいものを見れて、思わず顔がほころんでしまう。一度でいいから、あのふわふわした毛にさわってみたい。 「かわいい……。ね、こっちおいで」  手を差し伸べるが、手前にいた親ヤギが子ヤギをかばうようにして立ちふさがった。親ヤギはシャーディーンと同じ目線なので、睨みをきかされ少し怖くなって後退る。 「なにもしないよ。少しちっちゃい子をさわりたいだけなんだ」  そう親ヤギに話しかけるが、どうも言っている言葉が通じないようだ。ますます鳴き声を大きくし、息を荒らげてシャーディーンのいる柵のほうへ近づいてくる。  これは子ヤギをさわるのはだめそうだ、とあきらめかけた時だった。 「なにしてるんだ、お前」
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