37人が本棚に入れています
本棚に追加
/21ページ
あひるのいた場所まで戻ると、家畜小屋らしい建物から動物の鳴き声が聞こえてきたので、そこに入る。入り口からひょこっと顔を覗かせると、四角く区切られた柵の中に、ヤギが数匹いた。
よく見ると奥に一匹だけ、ちいさい子供の白ヤギがいる。毛も柔らかそうだし、顔がまだ赤ちゃんみたいで愛らしい。
かわいいものを見れて、思わず顔がほころんでしまう。一度でいいから、あのふわふわした毛にさわってみたい。
「かわいい……。ね、こっちおいで」
手を差し伸べるが、手前にいた親ヤギが子ヤギをかばうようにして立ちふさがった。親ヤギはシャーディーンと同じ目線なので、睨みをきかされ少し怖くなって後退る。
「なにもしないよ。少しちっちゃい子をさわりたいだけなんだ」
そう親ヤギに話しかけるが、どうも言っている言葉が通じないようだ。ますます鳴き声を大きくし、息を荒らげてシャーディーンのいる柵のほうへ近づいてくる。
これは子ヤギをさわるのはだめそうだ、とあきらめかけた時だった。
「なにしてるんだ、お前」
最初のコメントを投稿しよう!