第五話「好きです」

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    不意に見せる不器用な優しさも 射抜くような激しい赤眼も 深く響く妖艶な低音も 透也さんの全てが愛しい。 そう思った刹那…この人への想いが、声となって零れ落ちた。 「…………好き」 「…!」 「…透也さんの……事が………っ…好き、ですッ……」 口にした途端、想いはとめどなく溢れ出す。 好きだ。     好きだ。     アナタが好きだ。     やっと言えた…伝えたかった言葉。     そのお陰か、心は清々しい程満たされてる。     だけど何でかな…涙が止まってくれないんだ。     透也さん…俺、ちゃんと笑えてる? 泣きながら笑う事しか出来ない俺に…透也さんの瞳が大きく揺らいだ。 そして伸びてきた手は強く俺を掻き抱き、ソファーに押し倒されていつかのように唇を塞がれる。   熱い舌が絡む度に…透也さんの激しい熱が体の芯まで伝わってくるような気がして、俺はただ…目を閉じて受け入れた。
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