第四話「本当の気持ち」

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    勢い良く立ち上がる俺に、孝は目を丸くした。     「!いきなり何」 「出掛けてくる!」 「出掛けるって…この悪天候で?」 「おう!それから孝…本当にありがとな。ぅおおお大好きだー!」 「…ば?!おま…っ」 孝が居なければ俺は自身の気持ちに気付く事も、こうして行動を起こす事も出来なかった。 自分で答えを見つけるつもりだったのに、結局お前に背中を押されてしまった。 勇気をくれた感謝を込めて思いっきり抱き付けば、孝の顔が林檎みたいに赤くなる。 「それじゃあ、行ってきまーす!」 もしも孝の気持ちを透也さんと出会う前に知っていたのなら…きっと全てが違っていたかもしれない。 今の俺にその『もしも』を口にする事は出来ないけど、孝には感謝してもしきれないし、これからもきっと頭が上がらない。 そして家を飛び出せば外は土砂降りで、雨の勢いは収まる所か激しさを増すばかり。 だけど自覚した今、俺はこの気持ちを直ぐにでも透也さんに伝えるべきだと思った。     明日なんて待ってられない。     今なら、あの人がくれた言葉の本当の意味が理解出来る。   『無理に付き合わせて…悪かったな』 あの選択をさせたのは他でもない…俺だから。     もう手遅れかもしれない。   今更だって突き放されるかもしれない。   どんな結果になっても構わなかった。     それでも俺はこの想いと共に…激しい豪雨の中、透也さんの元へ真っ直ぐに駆け出した。 04ーendー  
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