第五話「好きです」

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*       透也さんの驚きに満ちた赤い瞳が、俺を見据えた。 「……圭」 「っ…すみません、いきなり……押しかけて…」 部活で向かい合う事はあっても、こうして会話するのはあの日以来。 そのせいか…名前を呼ばれるだけで鼓動が速まってしまう。 緊張を誤魔化す為に何とか呼吸を整えながら笑えば、透也さんは考えるように視線を外し…途中まで開いた扉を全て開けた。 「…とりあえず、入れ」 「はい、ありがとう御座いま…!」 追い返されない事にホッとした瞬間、透也さんが控え目に俺の首筋に触れた。 その手は直ぐに離れたけど、突然の事に心臓が跳ねる。 「…やはりな」 「へ?」 「冷え切ってる」 「え…あ」 さっきまで無我夢中で走って体が熱かったからか、自分がこんなに濡れてるとは思わなかった。 気付いたらちょっと寒い気もする…けど。 「風呂を貸すから入ってこい」 「いや、これくらい全っ然問題ないですよ!」 「震えてるクセに強がるな」 「…!」 「風邪を引かせたら休みの意味がないだろ」 強めの口調で言われてしまい、俺は反論出来ず狼狽えてしまった。    
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