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刹那ーー
再び式神が突撃してくる気配がしたため、セリを抱きしめる。
「んにゃ!?」
可愛い猫みたいな声を上げるな。
襲いたくなっちゃうだろ。
まぁ、こんなことを考えてる辺り、まだ俺にも余裕があるな。
心中で苦笑しながら横に転がり、特攻を回避。
同時にズドン! と、轟音が真横で響いた。
「きゃあ!」
セリは突然の事態に悲鳴を上げる。
これで少しは今のヤバい状況を理解しただろう。
「大丈夫かセリ?」
「え、ええ。
って、顔が近いわよ! 変態!」
「今はそんなことを言ってる場合じゃない。
お前が俺を狙ってきた目的は大体解る。それを踏まえてのお願いだ」
真剣にセリの瞳を間近から見つめ、言葉を紡ぐ。
「う、あう……」
「俺に協力してくれ。
この事態を乗り切るために。
お前にも仲間がいるだろ? “銀色の猫”」
「わ、解ったわよ! 協力してあげるから、今すぐ私の上からどきなさい!」
「OK。契約成立だ」
うしろ髪を引かれつつ、セリから離反して立ち上がる。
ああ、この柔らかく、綺麗な肌にもっと触れていたかった。
セリも体裁を立て直し、起き上がる。
まるで先ほどのことは無かったような、凛とした表情だ。
これはこれでいいな。
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