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それはそれとして、ガサガサと草根をかき分けて進んでくる足音が沢山耳に届く。
鳥系の式神だけでなく、陸上動物系まで使役できるとなると、やはり術者自身の能力である可能性大だな。
ちなみに式神ってのは、陰陽道で使用する術みたいなものだ。
魔力を送り込んだ紙に特殊な術式を編み込み、あたかも紙に命が宿ったかのようにみせる魔術。
それは術者の命令を忠実に守る兵士になり、姿も術者の思い通りになる。
精霊魔術として行使する場合もあれば、特殊な訓練を積んだ人間自体が使用することもある。
特に後者の場合は厄介であり、精霊魔術との波状攻撃をしてくる可能性が高いのだ。
「囲まれてるぞセリ」
「解ってるわ。
こんなの雑魚に使うのはもったいないけど、月宮。あんたに私の実力を少しだけ見せてあげるわ」
そう告げると、研ぎ澄まされた魔力がセリの身体から放出される。
それは彼女の左手に収束していき、空間が歪むような高密度の魔力が発生した。
ごくりと自分で生唾を飲み込むのが解る。
「アルカナ準備はいい?」
「いつでも大丈夫だ」
「“大アルカナNo. 01正・魔術師”」
左手に収束させていた魔力がアルカナに注がれていく。
すると彼女の身体がまばゆい光に包まれた。
2、3秒でその輝きは失われていき、妖精のような精霊の服装が変化していた。
魔法使いが着用するような白いローブを纏い、先端に水晶らしき石が付いた杖を手にしていた。
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