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「なんだか皆さん自己紹介をしているようなので私も……私は大学で助教授をしている真柳正嗣(まやなぎまさつぐ)と言います」
小屋の奥でひっそりと座っていた中年の男が、少し近付いて来て眼鏡をかけ直す。
「よろしく、真柳さん」
軽く頭を下げれば、真柳さんもそれに倣いまたもといた場所に戻っていった。
本当に自己紹介だけで終わってしまった。
その後、真柳さんはすぐに寝てしまったが、夏樹や玄ちゃん、冬慈とは夜遅くまで様々なことを話した。
そして早朝には天気も回復していて、私達は朝日を拝む為に最後の一登りをした。
「楽しみだね!玄ちゃん」
「そうだな」
二人仲良く山頂に立つ夏樹と玄ちゃん。
「ほら凪ちゃん、もう白んできてるよ」
「ほんとだ」
私の横に立つ冬慈が興奮気味に裾野を指差す。
雲海に朝日がかかり、黄金色に染まり出す。
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