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その笑顔にシンデレラは我を忘れて、髪に指を差し入れぐいと引き寄せると、もう一度口づけた。
逆らいながらもキスに酔い、ようやくのことで彼はシンデレラの胸を手のひらで押し戻す。
「だから、放せと…」
「お前の名を」
シンデレラが再び口づけようとしたのを、今度はその前に首を横にして遮り、
「わかった。お前には負けた。…私の名前は」
彼が言った名前は、この国の王子と同じ名だった。
「本当の名を言え」
そう言いながらも、彼が何か答える前に、口づけで言葉を遮る。
シンデレラの両腕が強く相手の身体を抱くと、細い身体が少ししなるようにそれを受け入れた。
ぐい、と自分の猛るものを相手に押しつける。
わずかにたじろぐように引こうとした相手の細い腰を離さず、ぐいぐいとまるでこね合わせるかのように力を込める。
互いの息が上がり、合わせた部分が熱を持つのがわかる。
が、すぐに。
「お…教えただろう。放して」
「行きたければ、自分でふりほどいて行け。それほど強い力で抱いてはいない」
「嘘だ」
「嘘じゃない」
「嘘だ…」
自分でふりほどけない。おまえが強く抱いているからだ、と腕の中で声がささやく。
その声に衝動的に動いたシンデレラの唇に、強く声を吸い取られてふたたび深い口づけになる。
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