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『どこだ?どこにいった?!』 自分の迂闊さに歯噛みしながら、なおも彼の姿を探していると、 「シンデレラ!どこに行っていたのですか!」 烈火の如く怒り狂った義母殿が登場した。 「皆さんのお相手もしないであなたは!」 「それどころじゃないんです、義母上」 「それどころって、あなた」 義母の声は、王と王妃の登場を告げるファンファーレに遮られた。 王宮での夜会といっても、宴もたけなわになる頃にならなければ王族は姿を現さない。 人々はドレスの裾をひき、王と王妃のために道をあけた。 シンデレラも、内心苛立ちながらも、仕方なくその場で居住まいを正した。 やがて、先触れの侍従の声とともに、王と、その腕を取った王妃が並んで現れた。 貴族たちは一声でもいただこうと、我先に王と王妃の御前へと(それでも身分の順は守りつつ)急いだ。 当然義母も、いつのまにかそんな人々の群れに混じってどこかへ消えてしまっていた。 やがて王たちが王座へ付くと、侍従が王子の体調不良とこの場への欠席を朗々たる声で告げる。 人々は儀礼通りの失望の念を表し、やがて始まったワルツにのって踊り出す。 いつもの舞踏会の夜だった。
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