05

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「やっぱりここにいたな。」 舞踏会はやはりどこの舞踏会でも退屈なのに変わりはなく、シンデレラは義母の目を盗み、ご令嬢たちの猛攻撃をかいくぐって中庭の池のほとりに座っていた。 待っていたのだ。ただ、彼ひとりを。 そしてその思惑通りに彼はやって来た。 「お前も、やっぱり来たな。」 笑って二人、並んで座った。 今夜も彼は、生きた花の香りがした。 「…会いたかった」 恋愛の駆け引きなど捨てて、素のままの自分でシンデレラはそう告げた。 「あ…。ええと。俺はそうでもなかっ…」 前回のようでなく、今度こそ洒落た情事に慣れている貴族のように振る舞おうとして、綺麗さっぱり失敗しているのにも気付かずに、彼は耳を真っ赤に染めてなんとか言い返そうと試みていた。 けれど、シンデレラが優しげに自分を見つめているのに気付くと、その視線を正面から受けて諦めたように苦笑する。 そして、溜息のような声で囁いた。 「…会いたかった。ずっと」
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