1.出会い

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授業も普通に受けて、部活も終わらせて、家に帰って、母に挨拶する。 自分の部屋に入って、辺りを一周見回してから、はっと我に返った。 今までぼんやりしながら、『いつもの日常』をこなしていた、そう、飯島くんに何か言われてから……。 タマ……珠玉……確かにそう言っていた、それを探していると……。 私は机の引き出しを開けた。 そこにある、桐で出来た小箱を取り出して、蓋をそっと開けた。 綿に包まれてある、直径3センチ程の、虹色に輝く半透明の球。 何故、すぐに、これの事だと思ったんだろう……。 これは私が高校に上がる時に、母から渡されたものだ。 「あなたが産まれた時に、一緒に産まれたのよ」 後産の時、母の胎内から転がり落ちたのだと言う。 「妊娠中に変な事したとか思われてるのかなーって気にした事もあったけど」 母はうふふ、と笑った。 「とにかく、これはあなたのものよ。時が来たら渡そうって思っていたから、渡しておくわね。入学祝いよ」 そう言って渡されたけど、正直私にもこれが何なのか判らない。 って言うか、私のものだと思ってるのに、入学祝いって、母の考える事は、少しピントがズレてると思う。 でも。 初めて会ったあの男が、初めての筈なのにクラスに馴染んでいる男が、これを知っている……? 私はそっと蓋を閉めて、引き出しの一番奥に、しまい直した。 多分、こうしておくのが、一番いいんだ……。
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