2.翌日

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「君には関係ない」 飯島くんが言い放つ、拓人は人の耳元で怒鳴る。 「関係ねえ事あるか! 梨沙にちょっかい出すんじゃねえ!」 ごめん、ハウリング気味でよく聞き取れなかったんだけど。 とりあえず女子達がきゃあきゃあ言ってるのは判った。 「本当に」飯島くんは、額に指を当てた「困るんだ、騒ぎは起こしたくない」 「てめえが含んだ言い方するからだろ!」 「拓人! 耳元で大きな声出さないで!」 私は耳を塞ぎながら言った。 「おお、悪い悪い」 拓人はお腹から腕を離してくれたけど、今度は肩を抱き締める。 「ちょっとおおお!」 さすがにムッとした、抱き締められる意味が判らない、思い切り手の甲をつねってやった。 「…ったいな!」 ようやく離れた拓人、手の甲にフウフウ息を吹きかけてる。 私は目の前の飯島くんを見上げた。 「猫ちゃん抱っこして歩いて行くのは見たけど、何をしてたかは見てないから!」 私は力一杯怒鳴った、信じて…! 「ふうん…」緑の瞳が、人懐こく微笑んだ「ならいいや」 くるりと踵を返して、自分の席に戻っていく飯島くん。 私は大きく息を吐いて、緊張を解いた。 「んだよ、猫ってえ」 拓人が手の甲をこすりながら言う。 「ん…昨日、ちょっとね…」 「ちょっと、なんだよ!?」 「うっさいなあ」 教室に入って行くと、麻衣がニヤニヤしていた。 「やっぱり、幼馴染の彼と云々…」 「ないでーす」 「梨沙子はそうでも、ねえ? 拓人くん?」 「ああ!? ある訳ないだろっ」 拓人にも怒鳴られて、麻衣はやれやれと言いたげに肩を竦めた。
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