43人が本棚に入れています
本棚に追加
/92ページ
2.翌日
翌朝、飯島智久はまた教室で、取り巻きのようにいる男女と楽しげに喋っていた。
私はまた、入口で止まってしまう、後ろにいる拓人がどすんとぶつかってきた。
「んだよ、梨沙子、入れよ」
「あ、うん…」
そんな声が聞こえたのか、飯島くんがこちらに視線を向けた。
慌てて私は視線を外す。
ちょっと明らさま過ぎたのか、それに気付いて、彼は立ち上がってこちらに来た。
私は背の高い二人に挟まれた。拓人も178センチある。私が思わず後ずさると、背中が拓人に当たった。
飯島くんは身を屈めて、私の顔を覗き込むようにする。
「…もしかして、昨日の事、覚えてるの?」
言われて、私はコクコクと頭を縦に振った。
「…昨日の事おおお?」
後ろから低い声が聞こえた、見上げると拓人が飯島くんを睨みつけている。
「おかしいな」飯島くんは顎に指を当てて小首を傾げた、妙に色っぽかった「僕の魔法が効かないなんて?」
魔法?その言葉に気を取られていると、いきなり背後から抱き締められた。
「きゃ…っ」
思わず声を上げてしまった、拓人の腕が私のお腹の辺りを両腕で抱き締めていた、身長差から顔は私の真横にある、意図的ではないだろうけど、頬同士が当たる。
「昨日の事って、なんじゃい!」
その言葉は飯島くんに向けたものだ。
私は恥ずかしいやらなにやら…周囲のざわめきが判るからだ。
友達然としていた拓人が抱き締めているからだろうか、あるいはイケメン飯島くんが声を掛けたからだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!