夢とネジと◆レジ王子◆

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おじいさんは眉を上げる。 「ま、空も恋も抱きしめながら、ルールを守って、気楽にやってくれ。そのうち夜は明ける。今日一緒に、この空を見れてよかった…。じゃぁな」 「は、はい…」 去って行くおじいさんに、二度と会えないことを理解した芽唯は、手を伸ばす。 「お、おじいさん…、色々ありがとう!……で、でも一体、何者だったんですか?…」 おじいさんはゆっくり振り返る。 「わしは、忍者の天使の親戚じゃ。つまりあの―…」 プ――――――――――――ッ おじいさんの声は、クラクションに掻き消された。 「…二次元のハンバーガーの弟の右上の……ネジおじいさんじゃ!!よろしくネジ!」 おじいさんは自分で爆笑して、去って行った。 芽唯とレジ王子は、瞬きを繰り返す。 車に乗りながら、おじいさんは「ネジの空を!わしは遂に見たネジ!」と言っている。 「あ、コンビニ。大丈夫ですか?」 芽唯の質問に、レジ王子は優しい笑顔を浮かべる。 「えぇ。丁度交替だったんで…。てか…、この…」 レジ王子は、細長い指で芽唯のキャップを指した。 「え?」 真っ赤になった芽唯は、フリーズする。 レジ王子は、少しだけ下がって言う。 「あ、ごめんなさい。いやそのキャップ凄くいいですね。てか、まぁ全体的に…とても、いいと…」 芽唯は、嬉しくて肩を上げる。 その時、彼女の頭に閃光が走った。 「はっ。そういうことか!私は私で精一杯やればいいんだ!運気があって、みんなの夢を繋いで、セカイを見て、ホントの夢をゆく。…はっ!」 芽唯は、ブルーのキャップを手に持った。 「このキャップは、あの子の服と合わせればっ!あっ!今日という奇跡の日の一着なんだ!”今”を生きる”私”を輝かせるために、キャップや服やネイルを組み合わせて――…。いい今日に、いい未来に―…、いいセカイに!!そうか!夢もファッションも同じだっ!!!」 芽唯は、頭の中を駆け巡るファッションのイメージを描き止めるものが、教室にしかないことに気付く。 「じゃっ。ありがとうございましたっ!」 芽唯はそう叫んで、坂を駆け上がる。
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