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午前の授業が終わり、昼休みになった。
母さんが作ってくれた弁当を鞄から取り出す。
「ねえ、一緒に食べない?」
「え?」
雪永から声をかけられたのが意外すぎて思わず聞き返してしまう。
「あ、先約があったりする?」
零は確か同じ部活のメンバーと食べると言っていた。
今朝はめちゃくちゃ心配されて、何回も謝られた。
真澄と悠真はバレー部の主将と副主将で、集まりがあると言っていた。
なんとかなると思っていたけど、雪永が声をかけてくれなければ俺はぼっち飯になるところだったらしい。
「ない、...」
「よかった♪」
今までは零たちと同じクラスだったから零と真澄、悠真の4人で食べていた。
考えてみれば2人きりで食べるというのは初めてかも知れない。
なんだか変に緊張してしまう。
「どうしたの?」
「いや、なんか、雪永が声かけてくるなんて思ってなかったし…それに今まで2人きりで食べるなんてことなかったから...」
「ふふ、緊張してるの?」
「多分...?」
「やっぱり神崎くんって面白いね♪」
「面白くないから...ってか雪永、友達いないのか?」
「なんだい急に、随分失礼じゃないかい?」
雪永が頬を膨らませてみせた。
「あ、いや、ごめん、そういう意味じゃなくて、その...雪永が他のやつと話してるのあんまりみないから...」
「ふふ、怒ったと思った?」
雪永が悪戯な顔で笑う。
「お前、俺のことおちょくってないか?」
「だって神崎くん面白いから。それに僕はジョークとか結構好きな質でね。」
「いやお前のジョークはなんか怖いよ...」
「そうかい?まあでも確かに。生徒会メンバー以外とはあまり交友関係がないかな。」
「へえ...」
「そういう君も、あの幼なじみくん以外であまり親しい人はいないようにみえるけど。僕が声をかけなかったらひとりでご飯を食べるつもりだったのかい?」
「ぅ...」
「ひとり寂しくランチが回避できてよかったね、この貸しは君の一生を対価とするのでいいよ♪」
「いやだからジョークがエグいって...」
「そうかい?ふふ♪」
なんだか本当に不思議な感じだ。
お堅い性格だと思っていたのに、無邪気でまるで子供みたいだ。生徒会長の顔とはギャップがありすぎる。
でも一緒にいて息苦しさは感じない。零といるときと同じように気楽だ。
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