第1章

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小さい頃の記憶。 誕生日を迎えた俺は大きなケーキを目の前に、目を輝かせていた。 「これ全部りおが食べていいの?」 「そうよ~!普段は体に悪いからあんまり食べられないけど、今日は特別!好きなだけ食べていいのよ~!」 「今日は凛桜のお誕生日だからな」 「お誕生日?」 「そう。今日は4月21日。凛桜が生まれてきた日よ。」 「凛桜、生まれてきてくれてありがとう。」 「お母さんもお父さんも凛桜のこと愛してるわ。」 「ふふ、お父さんとお母さんあったかい」 「凛桜くーん、お夕飯できたわよ~」 母さんの呼ぶ声に目を覚ます。 ああ、俺寝てたのか。懐かしい夢だったな。 父さんが死んだ後も、母さんはちゃんと俺の母さんをしてくれている。 でも、きっと母さんは俺を愛していない。 俺が嫌いなわけじゃなく、父さんが好きすぎるのだろう。 ちゃんと育ててくれたこと、感謝してる。 でも寂しかったのも事実で。
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