第1章

21/33
前へ
/33ページ
次へ
正面にいるボディーガードたちは合法的に雇われた者の可能性があるし、監視カメラの数も多い。勿論サクラにハッキングして監視カメラに細工したり無力化させるといったバックアップは行うが、<殺さずに敵を倒す術>は<狂犬>よりユージのほうが長けている。 「ボディーガードは全部で14人。さっき<狂犬>が3人殴って倒した。監視カメラと防犯システム、システムに侵入成功~。さすがは裏世界を恐怖に陥れたバケモノだ♪」  サクラがモニターで確認した情報を報告。<狂犬>は丁度ウェラー邸の北東側の庭側から10分前に侵入したところだ。ラテンスキーが本館のほうに案内されてから5分ほど…… ユージの想定したスケジュールとおりに事は進んでいるが、1分でも予定が狂えばウェラーの逮捕が難しくなることは勿論だが、最悪の場合<狂犬>が暴走し大殺戮が起きてしまうかもしれない。 ユージは静かにヴァトスを握りしめ、そして歩き出した。 「じゃあ、バックアップ頼んだぞ。拓のほうもな」 「ほーい♪」  サクラはまた降り始めた霧雨に身を震わせ上着を羽織りなおすと、雨の当たらない車の中に向かってラットクップを持って移動していった。ユージの作戦は一通り聞いてはいるが、上手くいくかどうかはサクラの頭脳でも高い成功率を出す事はできない。だが、計算では出せない結果を出すのがユージだ。どうなるかは、サクラにもわからない……
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加