日常5

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 気をきかせてくれたのか、栞里は食事が終わると早々に安田の腕を引っ張って帰っていった。残された俺達は、以前と変わらずに栞里達の飲み散らかした空き缶を片付け、食器を洗い、そして互いに風呂に入って夜が更けていく。  先に風呂から上がった俺が、そわそわと自分の寝室のベッドに腰掛けて待っていると、しばらくして入浴を済ませた浩哉が寝室に入ってきた。入るなり浩哉は俺の後ろのほうを見て嬉しそうに顔をパッと輝かせた。 「その子、可愛がってくれたんだ」  おっさんの寝床には似つかわしくないモフモフのぬいぐるみ。浩哉は俺に近寄るとベッドの上に飛び乗って大きなシロイルカのぬいぐるみをぎゅうと抱きしめた。 「ふふ。陵介の匂いがする」 「えっ? そうか? まさか加齢臭とか言うなよ?」  もう一度、浩哉はシロイルカに鼻を押しつけて、すう、と大きく息を吸い込んだ。以前はこいつは浩哉の匂いだったのに、一年も経つと俺の匂いに代わっていたのか。 「まさか、ぼくの代わりに抱っこして眠っていた?」 「……まあな。眠れないときだけ。おまえを忘れないように抱きしめてた」  俺は浩哉に手を伸ばすとその肩を優しく引いて、腕の中にシロイルカを抱いたままの浩哉の体を抱き寄せる。浩哉はシロイルカをそっと枕元に放すと、俺の背中に両手を廻した。さらに密着度が増した互いの体を覆う布地が邪魔になる。浩哉は我慢出来ないように俺の唇に吸いつくと、舌を割り込ませてきた。  熱心に唇を貪り、浩哉の衣服を脱がすと、そっとシーツの上に浩哉の裸体を横たわらせる。以前と変わらない、しっとりとした肌の感触を手のひらで撫で、舌で味わって一つ一つを想い出していった。  互いの熱く滾った屹立を同時に口に含む。浩哉から与えられる快感を何倍にもして浩哉の花茎にお返しした。  とろとろと浩哉の花茎の鈴口から透明な甘い雫が溢れ出る。それを丹念に舐めとると、浩哉の俺の屹立を舐める口が疎かになった。俺の目の前にある形の良い双丘の奥へと指先を這わせて、密やかな後蕾の入り口にたどり着く。 「はぁ……、陵介……」
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