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「真木はエタニティの販売資格試験に合格したそうだね」
「ええ。これで西部地区でもエタニティの取り扱いができるようになります。真木の資格取得で他の営業の志気も上がってましてね。そのうち、うちの店にも専門の整備士を置きたいと本社に申請中ですよ」
俺は本気で言ったのだが、八島さんはその薄い唇を可笑しそうに片方だけ引き上げた。
「……でも、それもどれだけ時間がかかるかな。それに県西部はファミリー層の多い地域だ。今だって軽やミニバンの売り上げが主流だろう? 例え取り扱いが出来るようになっても果たしてニーズに沿えるのかどうか」
八島さんがまた眼鏡のフレームを押し上げた。天井の白色蛍光灯の灯りがレンズに反射して、その一重の視線を消してしまう。
本当に苛つく物言いだな。早く本音を言えばいいのに。
「……真木は返しませんよ」
先手を打って八島さんを牽制する。
「やっと、うちの地域に馴染んで担当の顧客も増えてきたんだ。それにとても貴重な戦力ですしね。中央店では自由に出来なかったようですけれど、うちでは水が合っているようだ」
「そうか。でも、トップセールスでもほんの一部にしか手にできない資格があるんだ。宝の持ち腐れにするよりも、うちにまた帰って来て十分に発揮してもいいのだがね」
表情の乏しい顔にいらいらしてくる。以前にも浩哉を守れなかったアンタが今さら浩哉を欲しがるなよ。
呆れて反応しなくなった俺に、反論のネタが尽きたと勘違いした八島さんは、
「実は、うちの中央店の一部のセールスと整備士を独立させてエタニティのみを取り扱う店の責任者をこの度、仰せつかったんだ」
ああ、そう言えば大都市圏ではすでにそんな販売店を幾つか立ち上げたらしいな。
「最高の車に最高のおもてなしを、だ。エタニティを購入するに相応しいゲストを迎えるには販売資格を持っているだけでは駄目なんだよ」
「……なるほど。八島さんはここに見てくれの良いイケメンホストが接客する店を造りたいわけですね」
おい、と隣りの坂井が震えた声で俺を諌めたが、八島さんは全く動じた様子が無かった。それどころか、
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