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「太郎くーん」
「太郎君~」
私と本宮君は薄暗くなり始めた公園を名前を呼びながら歩いていた。
太郎君というのは、山田さんご夫妻のところの男の子で、昨日家を飛び出したきり帰宅しないという。
今朝依頼を受けて、現在調査中の他の依頼もなかったため、さっそく午前中から探しに来ている。
元々気の強い息子さんだったのが、ここのところ反抗期なのか家でも度々衝突していたらしい。
喧嘩の最中に、
「お前なんか出ていけ!」
と山田さんが言ったところ、頭に来た太郎君は本当に出て行ってしまったという。
最初はお腹でも空いたら帰ってくるだろうと思っていたのが、夕飯時になっても、翌朝になっても帰って来ず、心配になったご両親が、うちの探偵事務所に依頼に来たのだった。
「ちょっと休憩しましょうか」
本宮君の声に、私達は側にあったベンチに座った。
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