391人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれって、太郎君じゃない?」
本宮君の言葉に、私も画面を見てから木立の方を見る。
「うん!背格好といい、聞いてた特徴といい太郎君に間違いないよ!」
「アンタが言うなら間違いないわね」
ちなみに私の視力は2.0だ。
「行こう!」
立ち上がって、ダッシュの準備を取った私の腕を本宮君が押さえる。
「落ちついて。いきなり走り寄ったら逃げちゃうかもしれないわ。そーっと近づいて、それから確保よ」
「うん、分かった」
私はダッシュ寸前だった体勢をリセットした。
「行くわよ」
本宮君の声に静かに頷くと、二人で少しずつ木立に向かって歩いていく。
太郎君は木の側をウロウロしていた。
ゆっくりゆっくり近づいて、残り3メートルくらいまで距離をつめる。
本宮君と無言で頷きあうと、私はそーっと太郎君に手を伸ばした。
最初のコメントを投稿しよう!