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でも、後少しで触れるといったところで、太郎君が不意に振り返る。
「……!」
私達に気づいた太郎君が、突然ダッシュした。
「待って……!」
反射的に私も走り出す。
太郎君の足は早くて、一定の間隔を空けたまま私の前を走っていく。
急に始まった捕物帖に、公園にいた人達の視線がこちらに集中した。
「なに、あれ?」
「何かの撮影?」
太郎君も私も全力で走っているため、遊んでいるわけじゃないのが事情を知らない人達にも伝わるみたいだ。
(本宮君は…!?)
視界の中にいないし、かといって、すぐ後ろにもいるのを感じない。
辺りを見回すと、太郎君を見失いそうで、ただひたすら前を見て彼の背中を追う。
と、いくつかある公園の入り口のすぐ前まで来てしまった。
このままだと太郎君が公園の外に出てしまって、追いにくくなっちゃう……!
(公園を出る前に……!)
私が焦った、その時。
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