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みんなで事務所に戻り、山田さんご夫妻に連絡を入れると、40分くらいして事務所に駆けつけてくれた。
「太郎!」
お母さんは事務所のソファに座っている太郎君を見ると、彼に駆け寄り、ぎゅっと抱きしめる。
「もう、この子は……心配させて!」
山田さんの目にはうっすらと涙が滲んでいた。
太郎君は少し照れ臭いのか、顔を横に向けている。
「無事に見つかって、本当に良かったですね」
本宮君が言うと、お父さんが、ええと頷いて言った。
「女性の方がいて良かった。太郎はどうも男性は好きじゃないようで、女性にしかなつかないんですよ」
……ん?
女性しかなつかない?
「あの……私、さっき思いっきり太郎君に牙をむいて威嚇されたんですけど……」
「え?」
太郎君のお父さんが小さく声をあげる。
そして、しばし気まずい空気が流れた。
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