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「あ、あの、えーっと……」
お父さんが狼狽えながら、太郎君を抱っこするお母さんに視線を向ける。
ちなみに太郎君は、山田さん宅の四歳になる柴犬だ。
「く、暗かったから、良く顔が見えなかったんだよな、きっと!」
「そ、そうね」
お父さんの言葉に、お母さんが曖昧に答えた。
……いやいや、そんな顔が見えないほど、全く暗くないんだけど。
私の表情が変わらないのに気づいたお父さんが、焦りながら言う。
「こ、この度は本当にありがとうございました!こちらをお受け取りください」
そう言って、お父さんは封筒をテーブルの上に置いた。
この依頼の成功報酬だろう。
本宮君が封筒を手にする。
「確かに受け取りました。また何かありましたら、ぜひご依頼を」
「はい、その折は宜しくお願いします。じゃあ、太郎行こうか」
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