天界へ

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「あの変な大鍋はないのか?」 「大鍋でございますか?」 「こう、グツグツと煮え立っていて、混ぜながらヒェッヒェッヒェとか言いながら混ぜるやつ」 「申し訳ございません。これでもこの方幻想界の姫でして」 失礼いたしました。 と床に膝をつき土下座のような挨拶をされる。 「いい。そんなことは。それよりヒョッヒョッヒョって……」 「姫……言葉が変わっております……」 「お茶を……」とカップに注いでくれたものを出される。 「これは大鍋で……「ないでしょう!」 「すまん」 カップを近づけ匂いを嗅ぐ。 普通の紅茶のようだったので、ためらいもなく飲む。 「うん。うまい! この天界のハーブがいい味を出している。リアムも飲んでみろ」 「ですが……」 「だからだめなんだよお前は! ありがとうって飲めばいいんだ」
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