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恐る恐る口に含むリアムだったが、すぐに顔つきが代わり立ち上がる。
「思い出しました。幼少の頃に良くこれを飲んでいたこと。顔などはほとんど覚えていませんが、この味だけは忘れられなかったのです」
「おぉ……覚えてくださって……」
顔を手で覆い泣き出す老婆に、リアムが失礼なことをと謝っているが時間がもったいない。
「感動の再会中悪いんだが、聞きたいことがある」
「何でもお聞きくださいませ」
「なぜこの様なところにいる? 悪い噂も立っているようだが?」
「悪い噂? 私はただ、春との境に飽きたのでこちらに来ただけで、移動する事は良くあることです」
「魔界と天界の魔物の身なりは?」
「ここは寒いので、物売りから買いました」
「大鍋は?」
「え? スープを作る程度の鍋ならばございますが……」
チッと舌打ちし、つまらんとそっぽを向くと、質問はリアムがしてくれた。
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