天界へ

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今、ここら辺に近づくのは良くないと言われていること。森の魔女と呼ばれていること。ここに移動してきた訳。 老婆は一つ一つに丁寧に答えてくれる。 それはリアムだからろうか、元々そういった人だからだろうかはわからないが。 「昔城をでてから、春との境に住んで病に聞く薬を作っていた時は、近くの天使も買いに来てくれ、のんびりと過ごしていました。 しかし、段々と腰も曲がり遠くへ材料を取りに行くことが難しくなってしまいまして……」 「天界のものだろう? 年はあまり関係ないんじゃないのか?」 「そう思われておりますが、それは一部のものだけ。確かに寿命も長く、見た目も変わらぬものもいますが、普通の天界の町に暮らす民は違います。 私もそうです。 老いはきます。 このように曲がった腰で薬なぞ作っているので色々と言われることも多くなり、こちらの方へ参りました」 「リアム知ってたか?」 「私はあまり町には降りませんので話には。 それに、町のものも人間と同じように年を取りいずれは……と父から聞いてはいますが」 「魔界も同じでございます」 「魔界もか?」 「はい。このような狭間にいるとたまに紛れ込んでくるものもいますので、それで危険だと言われているのかもしれません。 ですが、魔界の者が天界にいられる時間は短いので、実害は聞いたことはないのですが……」
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