31人が本棚に入れています
本棚に追加
会社の昼休み、私はお弁当を食べようとビル群に囲まれた割りと広い公園へ入り、ベンチを探していた。
ビル群に囲まれているとは言っても、公園内に入ってしまうと森林浴ができるほどの木々や花たちが植わっていて、たくさんの人々の憩いの場となっている。
二つ三つと陣取られているベンチを通り過ぎた先を見て、ふと足が止まった。
ベンチの背もたれに両肘を掛け、長い脚を組み、空を見上げている……まるで映画やドラマのワンシーンを抜き取ったような、絵になる構図。
見とれていたのはそれだけじゃない……その人が見知った男性だったから。
彼は金髪サラサラヘアで青い瞳の外国人男性。
私の通う英会話スクールの講師、リック。
ここ数回、私が受ける曜日のレッスンはリックが担当している。
私は声を掛けようかどうか迷った。
なぜなら、私はスクールの一生徒だから覚えられてないかも知れないし、巧く英語で話し掛けられるかどうか不安だったから。
前へ進もうかどうしようかしていると、彼が見上げていた顔をこちらへ向けた。
「Hi,Marina!(ハイ、マリナ!)」
右手を挙げて、私の名前を呼んだ。
あ、良かった、覚えていてくれている。
私は嬉しくなって「ハイ、リック!」と小走りで駆け寄った。
「アー……ホワット アー ユー ドゥーイング?(何をしているんですか?)」
ありきたりな、簡単な質問をたどたどしく投げ掛けた。
最初のコメントを投稿しよう!