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夕方近くになり、雨が降りだした。
窓ガラスへの雨が打ち付ける音が酷くなり、妹が学校に傘を持って行っていないことに気が付いた。
それと同時にケータイの着信音が鳴り、妹から迎えに来て欲しいとのことだった。
私はリックと一緒に妹が通う短大まで傘を持って歩いた。
「リック、さっきは嬉しすぎて言葉が出なかったんだけど、本当にありがとう。これからもよろしくお願いします。」
腕を組み、相合い傘をして隣を歩くリックを見上げながら改めて返事をした。
「はい、こちらこそよろしくお願いします。」
リックも私の方へ顔を向けペコッとした。
「夕飯はご馳走作んなきゃね。」
「ボクは唐揚げがいいです。」
ニカッと白い歯を見せて微笑む顔は、相変わらず少年のようで、私が一番好きな心くすぐられる笑顔。
そんな顔でお願いされたらイヤだなんて言えるはずが無い。
妹のお迎えまでの道のりは、リックと一緒に話しながら行ったことと、リックからのプロポーズがあったことで気分が高揚していて、あっという間に学校へ着いた。
妹へ傘を渡し、来た道をまた戻っていく。
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