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夕陽が沈む前、赤く照らされた浜辺には、いつもにも増して、女子の群れがざわめいていた。
が、そのざわめきは駿一のボールを打つ音で瞬時に静かになる。
広海が女子たちの間から見ると、美しいフォームでスパイクを決める駿一の姿があった。
ムカつく男だが、駿一のビーチバレーをする姿には胸を掴まれてしまう。
ボールを打つ迫力、高いジャンプ力、長い手足が空を切る時の音が聞こえてきそうだ。
駿一の身体能力の高さに、広海は思わず見惚れてしまっていた。
「かっこいい……」
つい口から出てしまった言葉に、広海自身が驚き、恥ずかしくなった。
取材を始めてから、駿一を目で追うようになった広海は、
本当は駿一を見るたびに、ドキドキしていることに気付いていた。
「あんな男、好きになるわけない」
口では否定しながらも、駿一から目が離せなくなっている。
広海は、自分の気持ちがわからなくなっていた。
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