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「ヤヅァム君は、かなり未来が有望な魔法使いだと聞いたけど」
キュイールはニヤリ、と笑う。
そこからは怒濤の日々だった。
キュイールが手配した人間に指導を受けると、ヤヅァムはどんどん魔法使いとしての頭角を現した。
スェマナも負けては居られない。
もともと彼女は身軽で、獣相手ではあるが戦闘経験もそこそこにある。
……ついに、キュイールが率いる軍、ヤヅァム、スェマナは、瓦礫しか残っていない村を占拠し続けていた魔物を打ち倒した。
「スェマナ」
荒れ果てた、イァサムの畑にはまばらに実が生っていた。
「ヤヅァム、あたし、この畑にたくさんのイァサムの実がなるところが見たい」
ヤヅァムももう、成人が近い。
キュイールが、村の再建を確約してくれた。
スェマナはイァサムの、厚めの皮を剥いて、じゅぶり、とかぶりつく。
手入れをされていない畑のイァサムの実だったが、充分に甘いものだった。
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