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芳矢は自分のグラスを少し掲げて言った。
笑顔をプレゼントの代わりにして。
「誕生日、おめでとうございます」
「ありがとうございます」
本田もビールのグラスを掲げてみせた。
空調の効いた店内は涼しく心地がいいのに、なぜか身体が熱い気がする。
本田との間のスツールふたつ分の距離がもどかしい。
できれば本田のすぐ隣に座りたい。
―――なんて。
おかしいだろ、おれ。
何考えてるんだ。
飲み始めたばかりなのに酔ったような酩酊感のある頭で、芳矢は必死に自分をたしなめる。
男が好きってわけじゃないのに、本当どうしたんだ。
なんでこの人には惹かれてしまう?
心をもっていかれてしまう?
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