アイスクリームをひとさじ

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本田につられて、芳矢も笑ってしまった。 穏やかな微笑を絶やさない本田に、心がついゆるんでしまうのを感じる。 そこへ、マスターが芳矢と本田の前にそれぞれ皿を置いた。 皮つきのポテトフライ。 トリュフオイルとパルメザンチーズ、パセリ、黒胡椒を絡めてある。 「サービスです。今日は本田さんのお誕生日なんですよ」 芳矢は本田を見た。 「今日が?」 「はい」 「8月生まれ―――っていうと友達にもいるけど、乙女座かなんかじゃないですか」 「やっばり乙女座っぽく見えますか? よく乙女座に間違われるけど、獅子座なんです。これでも」 自分の外見のことを言っているのだろう。 スラリとして背の高そうな本田は決してワイルドな男っぽいタイプではなく、どちらかと言えば、スマートな優男だ。
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